ローフル?グッド?
「D&D」というゲームには、キャラクターに「アライメント(属性)」というパラメータがあります。
これはキャラクターの「役割」を決めてゲームを円滑に進めるためのものです。
昔の版では、この分類は
「ローフル(Lawful:遵法)」「ニュートラル(Neutral:中立)」「カオティック(Chaotic:無秩序)」
となっていました。※
実際のプレイでの認識は、、
ローフル=法に忠実で、秩序を守る良い人
カオティック=身勝手な悪い人
ニュートラル=どちらとも言えない
というような感じです。
その後、「AD&D」というゲームが出て、そこではもっと細かいアライメント「グッド(Good:善良)」「イビル(Evil:邪悪)」が加わり、
「ローフル・グッド(秩序にして善)」「ローフル・イビル(秩序にして悪)」「カオティック・グッド(混沌にして善)」などという概念もできたようです。
(実は、AD&Dの方はほとんどプレイしたことが無いのですが。)
「ローフル・グッド」「カオティック・イビル」は分かる気がしますが、「ローフル・イビル」「カオティック・グッド」って、ちょっとイメージ湧きにくいですね。良い人なの?悪い人なの?…みたいな。
こんな感じだと考えると、分かりやすいと思います。
・「ローフル・イビル」= 「悪の組織に所属する、忠実なしもべ」
・「カオティック・グッド」=「悪を裁くためには法も犯す、掟破りの正義の味方」
要は、同じ「正しい行為」と思えるものでも、「ローフル(遵法)」と「グッド(善)」という概念は、別物だと考えられる…ということのようです。
これが、意外に現実社会でも、当てはまりそうな気がしたんですよ。
※ 最新版のD&Dでは、グッド、イビルになったみたいです。
[ ローフル/グッド判定テスト ]
次のようなシチュエーションの時、あなたならどう振る舞うか。ちょっと想像してみてください。
※ 初めに断っておくと、どちらが正解とかは無いつもりです。
心のままに選んでみてください。
1.あなたは車を運転している。見晴らしの良い直線道路。法定速度40km/h制限。
自分の前には車はいないが、後ろには何台か車が連なっている。
こんな時、どうする?
A. 法定速度を順守し、40km/hを超えないよう注意しながら走る。
B. 10kmオーバー位なら問題ないだろうと、時速50km/h出して走る。
2.押しボタン式信号機の横断歩道がある。あなたは歩行者で、道を渡りたいと思っている。歩行者は他にはいない。
遠くに車が列をなしてやって来るのが見えるが、この場所に到達するには、少し時間かかりそう。
こんな時、どうする?
A. 押しボタンを押し、歩行者信号が青になるまで待ってから渡る。
B. 車が来る前に余裕で渡れるので、信号無視だけどさっと渡っちゃう。
3.あなたは車を運転している。あなたの前には車はいない。後ろには、2~3台の車が間を置かずに追従しているが、その後ろには全く車はいない。
そんな時、急ブレーキをかけずに止まれる距離に横断歩道が見え、一人の青年が手を挙げて横断したそうにしているのに気付く。
こんな時、どうする?
A. 青年を渡らせるために、一旦停止する。
B. 停まらずに先を急ぐ。
[ 解釈 ]
普通はAを選択するのが「正しい行為」と思えるんじゃないでしょうか。
しかし、ちょっと考え方を変えると、それとは別な「善」の行為が見えてきます。
1.
Aを選んだ方は、「ローフル」だと思います。よほどのことが無い限り、法定速度は守るべきですよね。
Bを選んだ方は、「グッド」かもしれません。自分が40km/h以下で走るということは、後続の車は、40km/hよりだいぶ遅いスピードで走ることを余儀なくされることになります。後ろの車のことを考えると、スピードを出すべきでしょう。
2.
Aを選んだ方は、「ローフル」だと思います。車が来ようが来まいが、信号は守るべきですよね。
Bを選んだ方は、「グッド」かもしれません。押しボタンを押してしまうと、自分が渡り切った後もしばらくは車側の信号が赤のままとなり、多くの車の進行を妨げてしまうことになります。やって来る車のためを考えた行為と言えるでしょう。
3.
Aを選んだ方は、「ローフル」だと思います。横断歩道は歩行者優先です。
Bを選んだ方は、「グッド」かもしれません。青年にとっては、全ての車が通り過ぎるまで待ってもそれほど時間は変わりません(停まるための減速時間を考えると、ほとんど差は無いでしょう)。そのために後続の車をも停止させるのは、全体の幸福度を考えるとマイナスです。
いかがでしょう?
Bにも「善」というか、「法を超えた気配り」の心があると言えませんかね?
(もし、Bの行為の利他的な部分に気付かなかったとしたら、やはり「グッド」度が低いのかもしれませんよ)
もちろん、Bの場合「グッドかもしれません」と書いたように、内面までは判断付きませんね。
他人は関係なく、純粋に自分の利益のためだけにBを選ぶことも考えられますからね。
とは言え、本人の意図とは関係なく、その行為を「ありがたい」と思う人は存在するわけです。
一方、Aの方にしてみても、「社会正義のために」この行動を選んだわけでは無いかもしれません。
法律を破って、罰金食らったりしたら嫌だから…というような「自己防衛」「責任逃れ」的な思考かもしれません。
えー…こんだけややこしい話を書いて、結局何が言いたいかと言うと…
…自分でもよくわかりません(スイマセン)。
「法律は守るべき大切な物である」というのは前提として、「法律を守ること=善」とは限らない場合もある…ということかな。
う~ん、ちょっと違うか。
たかがゲームの話から、ちょっと重い領域に踏み込みそうになってきました。
そろそろ撤退します…。
(2009.10.23)
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