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幽霊の正体

忘れないうちに前回の続きを書いておきます。また長いです。
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前回は、幽霊の「設定」に疑問があることを書きました。

これを読んでもらうと、いわゆる幽霊って無理のある存在だと思えるんじゃないでしょうか?

それでも、人は幽霊を見てしまう。

巷には、数多の体験談があふれています。
それらは全てウソや、単純な勘違いだということでしょうか?

そう考えるのも、無理があるような気がします。

そこで、私は二つの仮説を提示します。
特に二つ目の仮説は、なかなか驚愕すると思いますよ。

1.「ありていな」仮説

ラマチャンドラン博士の「脳の中の幽霊」という本で、脳に障害を負った方々が、かなりリアルな幻覚(人物やマンガのキャラクタなど)を見るという話が書かれています。
そのリアルさたるや、その幻覚の後ろの物が、それに阻まれて見えなくなってしまうほど(幽霊のような半透明ですらなく、完全に「実体化」して見える)。

これは特別な状況の人の話ではありますが、人間はそんな「機能」も持っているのだという例証にはなります。

健常者でも、何かの拍子にスイッチが入り、リアルな幻覚を見てしまう…そんな可能性も否定できません。
霊能者ともなれば、(無意識のうちに?)自分でスイッチを入れられるようになるのかもしれません。

そもそも、「存在しないものを見る」ということは、みんな日常的にやっているじゃないですか。
そう、「夢」です。夢は、実在しない人物を出現させます。
それが、寝ていない時、現実の風景にオーバーラップして現れたら、完全に幽霊ですよね。

夢といえば、体験談をたくさん読んでいて見かける典型パターンに

夜、寝ようとしていたら…

というものがあります。この後、幽霊を見てしまったりするのですが、その後の展開としてよくあるのが

恐怖のあまり気を失ってしまった。気付くと朝だった。

このパターンは非常に多いです。
(普通に考えると、幽霊に会ったら、気を失う前にまずその場を逃げ出しそうなものですが…)

体験者には申し訳ないですが、これは普通に解釈すると、やはり夢か、「入眠時幻覚」というものではないかと思います。

私も昔、授業中眠くなって必死に耐えている時、よく幻聴を聞いたりしたものです(苦笑)。入眠時に、実在しないイメージを見たり聞いたりすることは、普通にあることです。
(酒や、薬物でも起こりえますね)

金縛り(実際には生理現象)もよく同様のタイミングで起こります。ここで入眠時幻覚を起こすこともあるでしょう。金縛りと霊現象が結びついて考えられるのもこのせいだと思われます。
(金縛り時には脳が覚醒している場合も多いです。私も昔、良く金縛りにあいましたが、金縛り状態で目を開けていられたこともあります。私は金縛りのまま寝てしまうと心臓が止まりそうな恐怖感を感じるので、いつも無理やり解いてましたが。)

つまり、幽霊は外界に存在するのではなく、「脳の中に現れている」のでは無いでしょうか。
その意味では、実在はしているのです。(夢や幻覚という現象が実在するという意味で)

しかし、それはあくまで主観的な存在です。
死者の魂とは何の関係もありません。
決してそれ自体の意思や力などは持ちません。
決して生者にたたりをなしたり、ましてやラップ現象など起こしたり、写真に写ったりなどはしません。
もし、見たものに災いをもたらすとすれば、それは良心の呵責や罪の意識によるものでしょう。

肯定論者の方の中には、「心の中にしか現れないことは認めるが、それこそが幽霊=死者の魂なのだ」と主張する方もいるかもしれません。

しかし、霊が主観的でしかない存在だとしたら、幻覚と区別の付けようがありません。それなら、幻覚と考えてしまってもあまり問題無いのではないかと…。

2.「意外な(?)」仮説

「そんな理屈じゃないんだ! どんなに無理があろうと、幽霊は絶対いるんだ!」と主張したい方もいると思います。
そんな方に、以下の仮説をご提示いたします。

客観的な存在として、「幽霊」が実在する仮説です。

それは心の中だけの存在ではありません。心の中にも出現できるし、外にも存在できます。
写真にも写れるし、突然姿を現し、生者を驚かすこともできます。
服を着ていることもできるし、望めば素っ裸で出ることもできます。

彼らの正体とは…

…「妖怪」です。

Youkai
(妖怪)

ああ、待って!帰らないで!
ここ、ズッこけるとこじゃないですから…。

そもそもが、「幽霊」などというあいまいな存在のことを語っていたわけです。それが「妖怪」じゃなぜいけないんです?
「幽霊」はいそうだけど「妖怪」は絶対いないという、根拠がわからない。

「妖怪」と考えると、以前書いた「矛盾」のほとんどは関係なくなります。

服を着ているとか、年齢問題とか、脳がどうとか、全て関係ないですね。そもそも「死者」の変化した物では無いのですから。
動物がどうか、これも関係無いです。いわゆる通常の生物とは関係無い存在なのですから。
写真に写る、これは彼らの能力次第。彼らも現代に生きるため、日夜様々な能力を鍛えているのでしょう。
出現してもたいしたことをしないのも、妖怪だからです。彼らは驚かすのが目的なのです。
意味不明なことをするのも、当たり前。人間とは行動原理が違うのです。

数多ある体験談では、皆さん自分が見た物を、勝手に「死者の魂」だと思い込んでいるだけなんです。

実際、妖怪体験談も、松谷みよ子さんや柳田国男さんの著作では、数多く出てきます。幽霊体験談が本当らしく思えるなら、こちらも信じないといけません。

また、日本では寝ている時に「幽霊」が現れるのが普通ですが、アメリカでは、寝ている時に現れるものは圧倒的に「宇宙人」なのだそうです。これは、アメリカと日本で出るものが違うわけではなく、両方とも「妖怪」に騙されているんです。

死者の姿をしていたり、宇宙人の姿をしていても、見た目で信じてはいけません。
やつら「妖怪」は、常に人間を騙したり、驚かせたりすることを楽しみにしている存在なのですから。

霊能者の皆さん、気を付けてください!
それはご先祖じゃありません!妖怪があなたを騙そうとしているのです!!
本気にして「あなたのご先祖は、あなたに頑張ってほしいと言ってます」などと通訳したら、その後やつらは陰で腹を抱えて大笑いしているに違いありません。

「幽霊」は、いない。「妖怪」がいるのです。(ついでに「妖精」がいても良いです。それはお好みで。)

いかがでしょう。

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まあ、私が本気で妖怪を信じている…と思う人はいないと思いますが…。
でも、こういう仮説も成り立つということです。

幽霊を肯定する人に、妖怪の存在は否定できないでしょう。

そうなると、幽霊の存在を主張するのも、ちょっと気後れしてきませんか?
(いや、力強く「幽霊も信じるし、妖怪も信じる」って言ってもらえれば逆にすがすがしいですが。幽霊だけ、というのは納得できません。)

[ なぜ幽霊なら信じられるのか? ]

しかし、なぜ人は「幽霊」をこれほど簡単に信じてしまうのでしょう?
そして、なぜ人は「幽霊」が怖いのでしょう?

前回の冒頭にも書きましたが、これは本能に根付くものだと思います。

ガラス越しにでも高い所が怖かったり、毒が無くても蛇やクモが怖かったりするのと同様です。
太古から受け継がれてきた本能によるもので、理屈では無いのだと思います。

なぜ霊(死者)が怖いのか、私なりに妄想してみると…

死んだ人間の近くにいると、その人が死んだ原因(火山ガスや病原菌など)の影響を受ける危険にさらされ、死亡する確率が高くなります。
また、死体が腐敗することで発生する病原菌に感染してして死亡する可能性も高くなります。

「死者が怖い」性質を持つ人の方が、死者から遠ざかるため、生き残る可能性が高くなります。
生き残った人の遺伝子ほど、受け継がれやすく、広まりやすい。
その「死者が怖い人」遺伝子が現代でも、多くの人に受け継がれているんじゃないでしょうか。

死者の身近にいただけで具合が悪くなったことを、太古の人は死者の怨念だと感じたかもしれません。
それで死体そのものだけでなく、死体の発している目に見えないもの(霊)にも恐怖を感じるのでしょう。

(※ あくまで妄想で、何の根拠も無いですが)

そう考えると、霊は存在するから怖いのではなく、存在しなくても怖い、ってことなんでしょうね。

幽霊とは、ほどほどの距離で、ほどほどに怖がるお付き合いをするのが良いと思います。

そもそも、むやみに怖がり過ぎるのは、(「設定」では元は人間だったはずの)幽霊に対しても失礼ですよね。

(2009.11.2)

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コメント

なにやら面白そうなことを考察してますな。
妖怪の話ですが、「江戸の妖怪事件簿」という本がありまして、それによると、妖怪が活躍するのは中世期までで、江戸時代にはすでに妖怪は"知識人ならば"眉に唾付けて話を聴く対象だったそうです。
http://www.amazon.co.jp/dp/4087203980
その代わりと言ってはなんですが、江戸から明治にかけて、怪しげな出来事の原因を求める対象が別にちゃんとあったのですな(鳥山石燕の説明文をよく読むと頻繁に出てきたりします)。
その答は本書を読んでもらうのが一番なんですが、実はAmazonのレビューにしっかり書いてあります。読む時間がない場合はそちらをどうぞ。

最近読んで面白かったフィクションでの幽霊関連の理屈では「世の中の物理量は"実数"で表現できるものだが、実は人間の精神などは"虚数"を含めた"複素数"で構成されており、霊的な現象にはその虚数部分が影響している」というものがありました。
この虚数部分を測定できるようになった世界で、とある職業(霊能者的な職業ではありません)にその測定器が活躍する話です。こちらもご興味があればどうぞ。
http://www.amazon.co.jp/dp/4840129258

#実際には、複素数は直接的な物理量としてではないにしても、電気・電子工学や量子力学の数学的基礎として使われています。

投稿: 深井 | 2009年11月 4日 (水) 01時54分

コメントどうもです!
指摘のAMAZONレビュー見てみました。
これは面白いですねー。
幽霊は信じず、狐狸の仕業と思うなんて。

松谷みよ子さんの著作にも、頻繁に「狸汽車」の話が出てきます。
汽車が来たと思ったら、何も見えなかったり、狸だったりというような話。
でも、これこそ私に言わせれば、汽車に化けた狸に化けた妖怪ですよ。きっと。

石燕の本(画図百鬼夜行)を偶然、最近買いました。
これを読んで知ったのですが、けっこう石燕の創作妖怪って多いんですね。

まあ、私の妖怪話は、半分冗談なんですが、でも妖怪は面白いです。

虚数世界ですか…イメージしにくいですが、想像を掻き立てますね。
量子の世界なんかにも、幽鬼が潜んでいそうですよね。

投稿: 適当所長 | 2009年11月 4日 (水) 23時01分

重要なことを書き忘れてました。
「なぜ霊(死者)が怖いのか」
先に書いた「江戸の妖怪事件簿」の記述を信じるならば、日本人は古代には「八百万の神々」(自然そのものに人格を与えたもの)を恐れ、次に「鬼」に代表される妖怪(鬼は中国からの輸入概念)を恐れ、その次には「狐狸」(これは何が由来なのかよく判りませんが)を恐れてきた訳です。ではそれ以降は?
次に入ってきたのは「西洋文明」です。それと同時に「霊魂」という概念が輸入されました。
日本が開国した19世紀から20世紀初頭にかけて欧州や米国で大流行していた「交霊会」と共に霊魂の概念が輸入された訳です。
そう考えると、「ウィジャ板」が日本に来て「狐狗狸さん」になったのはなかなか興味深いですね(狐狗狸さんとして日本に最初に入ってきたのは、どうやら「ターニングテーブル」の方らしいですが)。
閑話休題。昭和生まれの我々が感じている現代では、まだその流行が続いているようです。次に来るのは「グレイタイプの宇宙人」でしょうか。それとも「都市伝説」に現れる不思議な存在(包括的な名前はまだないようですが)でしょうか。はたまた日本独自の超自然的存在が現れるのでしょうか。
それがなんになるにせよ、「科学文明の世紀」である21世紀になっても、人間が体験する不思議な出来事の実行者たちは、名前が変わることこそあれ、いなくなってしまうことはないと思います。
かっちりとした「科学的で理路整然とした世界」と「あやふやな人間の感覚」の隙間は、きっとこれからも埋まることはないでしょうから。

投稿: 深井 | 2009年11月 5日 (木) 01時24分

幽霊や妖怪に歴史ありですね。
古くは、縄文時代の屈葬が、霊を封じ込めるためだという説もあるそうで。

グレイタイプの宇宙人もそうですし、チュパカブラとか、フライングヒューマノイドも妖怪の類に思えます。

日本だと、口さけ女とか、「てけてけ」とか、「くねくね」とか。
確かに、現代でも妖怪はその種類を増やしているみたいです。

投稿: 適当所長 | 2009年11月 6日 (金) 21時58分

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