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ばけものばなし

ばけものばなし」(岸田劉生)
iPhone/iTouchアプリ「豊平文庫」(青空文庫)で読んだのですが、面白かったのでちょっと紹介。

アプリが無くても、ここで全文が読めるようです。

岸田劉生というと、たしか画家だったと思いますが…
美術史に疎い私としては「開運! なんでも鑑定団 」くらいでしか馴染みない名前ですね…

調べてみると… 

大正~昭和初期の洋画家。代表作は「麗子立像」!
なるほど、ちょっと思い出しました。美術館で作品見たこともあったかも。

しかし、その画家の劉生さん、こんなエッセイ?も書いていたとは。

面白いと思ったのは、その、お化け(幽霊・妖怪)に対する感覚に、すごく共感できるのです。
考え方が似ているのかもしれません。

芸術家というと、理屈より感性を重んじ、「魂」「霊感」というものの存在を肯定する人間が多そうな(勝手な)イメージがあるのですが…著者は、ちょっと違うようです。

私は御化けのあるという事はまるで信じていない。また戯談は別として、他人に御化けのあるという事を話す事もしない。
しかし、怪談をやる事、聞く事は好きである。しかしそれは話として、それを味うのである。私は御化けというものは民族的、または人類の一種の芸術的な作品、一種の詩だと前にも述べたが、一つ一つの怪談に表われている様々な技巧や、様々な空想や、実感やらを味う事がすきなのだ。」(引用)

この感じ、すごく共感持てます。
以前も書きましたが、私も「信じてはいないが、話は好き」タイプです。

このあたりが、ガチの「オカルト信者」や、反対にガチの「オカルト否定論者」に理解されにくい所なんですよね。
「懐疑派」の中にはこういう、私と同じような感覚の人、けっこう多いと思うんですが。

「ムーとか、よく読む」というだけで、ガチ否定論者からは「詐欺に加担している」なんて断罪されることも。それはちょっと違うのだけどな。

このあたりでも、著者は面白い事を書いています。

「心から妖怪を信じる人は別として(中略)大てい妖怪談を好んで語る人は

一、多少嘘つき
一、反省の足らぬ人
一、他人の中にあって談ずるに、自己を持す意力の弱い人
一、甚だしく遊戯的気分の多い人
一、話の興味のために自己を偽る人
一、甚だしく対他的興味の強い人
一、芝居気のある人

(引用・読みやすさのために段組みを少し変えました)

かなり酷い言われようです…。

しかし、その総評としては

「一括していえば性格の弱い人が多いと思える。つまり才子風の人が多いと思う。
だから、御化けの話を好む人は大てい、意地の悪くない、多少他人に対して臆病な、好人物が多い。」(引用)

と、意外や、妖怪談を好んで語る人の方が、好人物が多いと書いています。

反対に、

「これに対して、化物はないという方の人間にはどうかすると、意志の強い、他人が少しは嘘と知りつつも面白さに引かれて怪談でもしている時に、その嘘の方を少し大げさににくみ、興味に遊んでいる方を楽しまない底(てい)の意地の悪さがある。」(引用)

化け物は無いと言い切る人の方が、意地の悪い人物が多いと考えているようです。

うーん、私はどっちなんだろう…。

そもそも著者本人は、自分をどちらと捉えているんでしょう?
「心から妖怪を信じる人は別として」と書いているので、著者は自分を前者だと考えているようです。

だとすると、自分を好人物だと評する一方で、「多少嘘つき」「反省の足らぬ人」とも考えているという事ですね。面白い。

さらに著者は、「幽霊に足のない訳/妖怪に足のある訳」なんてことにも解析の目を向けています。

そこでは、最初に体験談も語られているのですが…
「この事を話す前に、私は私の見た幽霊の事を話そう。それは無論、半分夢のさめかけた時にみた幻覚だが(以下略)」
(引用)

と、自分の見た幽霊の事を、真っ先に夢(まさに入眠時幻覚)だと断じています。
冷静ですね…。
これが大正時代の人間とは。いや、むしろ当時の人の方が冷静だったのかな?

そして、その体験談から、幽霊に足の無い理由をこう理由付けています。

「人は誰でもその知人の事を考え、その知人を思い出す時胸から上を考えるのが当然で、その人の足を考える人はめったにない。」
「幽霊の方はどっちかいうと、幽霊の幻覚がモティフになっているから足がないのであるが、これに反して、妖怪に足のあるのは、それが全然、想像的な創作だからである。」(ともに引用)

なるほど。なかなか説得力ありますね。
こういう理屈っぽい解釈、つくづく親近感持てるなあ

ちなみに、著者は、幽霊に足がなくなったのは江戸時代の丸山応挙以降であることも指摘しています。
この頃から日本の絵画などの芸術が「実写的」になり、幽霊という物に関しても「らしさ」を追求した結果、足がなくなったのではないかと推理しています。

その他にも「狐にばかされるという事の合理的の解釈」「鬼について」などについて触れており、どれもなかなか興味深い内容でした。

幽霊、妖怪に興味のある方には、おススメです。

(まあ、「心理学はちっとも知らないのだからちがっていたら御かんべん御かんべん。」(引用)なんて、やけに軽い言い訳も書いてますけどね)

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妖怪つながり(?)で…

こんな映画が海外で公開されるようです。

THE TROLL HUNTER」(トロルハンター)
(ギガジンの記事より。本家HPは見つからなかった。)

トロルが実在するという設定で、それを追う人たちをドキュメンタリータッチで描いた映画らしい。
ノルウェー制作の映画ですね。やっぱり、ノルウェーはトロルの国なんだなあ。

トロルの映像も良さげ。人間大から巨大なトロルまで、いろんなタイプが登場するようです。毛むくじゃらでしっぽのあるトロルって、私のトロルのイメージどおり。

複数の首を持つトロルも登場するようですが、これも、伝承にありますね。
オスロで買ったトロルの本にも出てました。

この映画、すごく観たいんですけど…日本未公開だそうで。残念。
DVDでも出ないかな…。

Troll
(オスロの街角トロル)

(2010.10.8)

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