ラビリンスメイカー・2
(前回の続きです)
自分も子どもの頃、迷路を作って遊んだことはありました。
その時の迷路は、方眼紙に細かく線を引き(ウィザードリィのマップのように角は90°になる)、分岐や行き止まりを多く作り、プレイヤーを惑わせようとするタイプの、ごく普通の迷路でした。
しかし、小学一年生の迷路は、そんなありきたりなものではありません。
当時、遊んだ後にその迷路をくれた子もいました。(そして、その子は次の「新作」に取り掛かるのです)
私は、その中で特に出来の良かったものを1つ、記念に保存していたのでした。
その子も、今では、もうすっかり大人になって、就職さえしている年齢のはず。
私の事はおろか、昔迷路を作ったことさえ、覚えていないでしょうね…(しみじみ)。
その子の著作物であるという部分には敬意を払いつつ、譲渡されたものということで…
ここに公開してみたいと思います。
(もし、万に一つの可能性で、ご本人からクレームがあったら、削除します…。)
これが、その迷路です。
(「ぼーるおさざせめいろ」…?「ゴールを目指せ迷路」という意味かな)
ご覧のとおり、単なる迷路では無いのです。
すごいと思いませんか?
何が何だかわからない?
私も、当時そうでした。
でも、作者の子は、ちゃんと解説をしてくれました。
(作者の子を仮に「まさおくん」としておきましょう)
・スタート地点
右上の矢印がスタートです。
迷路がウネウネとクネリながら伸びて続いています。
…しかし…ウネウネはしているものの、実は一本道。迷路になっていない…(笑)
いやいや、まあ、小学一年生ですから。
当時の私も苦笑しつつ、鉛筆の先でウネウネをたどって進みました。
すると、行き止まりになって、黒い点が描かれています。
私「これ、何?」
まさおくん「ワープするの。」
そう、この穴にたどり着くと、次のステージにワープするのです!!
すごい。通常の迷路の概念を超越しています。
ワープした先には次の迷路(2)が。
しばらく先に進むと、今度の迷路は、終端が広くなっており、そこには恐ろしいものが…。
私「こ、これ、何?」
まさおくん「敵。」
この迷路、敵がいるのか!!
どうやら、この敵を倒さないと先には進めないようです。
「どうやって倒すの?」と聞くと、まさおくんは鉛筆の先で敵を指し、
まさおくん「二ーーーーって。」
と、その上でグシャグシャっと鉛筆を細かく動かすマネをしました。
どうやら、鉛筆の先で戦っているマネをしていれば、そろそろ敵の体力が無くなったと思われる頃に、まさおくんが「もうやっつけた」と判定してくれるようです。
「ニーーー…」というのは、敵のHPバーが減っていく音だったようです。
(私が鉛筆で戦っている間、まさおくんは「ニー…」という効果音を出しててくれました。)
そうして、私は無事(?)、敵を倒し、また次のステージにワープしました。
こんな感じでどんどんワープを繰り返し進んでいきました。
そして、ステージ4。
今度は、迷路の道がギザギザになっています。
私「これ、何?」
まさおくん「当たるとダメージ。」
…だ、ダメージってなんだ!?
どうも、この迷路をたどるプレイヤーに、「体力(HP?)」のような概念があったようです。
ということで、ギザギザには触れないように進みます。
(迷路の幅が細すぎて、絶対触りそうなところもあるんだけど…。そこは見逃してくれました)
ステージ4には、巨大な敵が。
剣も持っています。これは強そう。
まさおくん「これ、中ボス。」
…なるほど、強そうなわけだ。
まあ、しかし、これまでと同じ要領で相手にダメージを与えられるようです。
(ただ、HPが大きいので「もうやっつけた」と言われるまでの時間が長い…)
何とか倒すことに成功。
さらにワープをして先へ進んでいきます。
ステージ5。
最終ステージのようです。
ここでは赤鉛筆で書かれた迷路に行き当たりました。
私「この赤い道は、何?」
まさおくん「溶岩。触ると死ぬの」
…迷路で、「即死壁」ッ!?
そうか…!
今まで、これはいわゆる迷路のようなものと思っていましたが…
実はそうではなく、ゲーム性的には「電流イライラ棒」のようなものだったのです!
※ ちなみに、「電流イライラ棒」が登場した「ウッチャンナンチャンの炎のチャレンジャー」は、1995年~2000年の放送とのことですが、この迷路が書かれたのはそれ以前のことです。すごい…。
その後、その溶岩壁も避け、ステージの最後にたどり着きました。
そこには、赤い体を持つ「大ボス」が。
おそらく、ボスに普通に触れたら即死かダメージなのでしょう。
実際どうやって倒したか、はっきり覚えていないのですが…
頭上のアイテム(?)を取ると攻撃できるようになった…とかじゃなかったかな。
ともあれ、なんとかそれも倒すことに成功し、私はこの迷路の攻略に成功したのでした!
迷路をクリアした私に、まさおくんは満足そうでした。
(そして、賞品として(?)、この迷路をもらえたのです)
しかし…当時もこの発想にド肝を抜かれたのですが…
ゲーム作りに携わるようになった今、あらためてこれを見ると、さらに驚くべきものがあります。
ステージが切り替わるというのは、ファミコンゲームの模倣と考えればそう不思議でもないのですが、そのステージ進行について「レベルデザイン」の思想が既に存在するという事実。
「レベルデザイン」というのは、ゲームの進行度に合わせて、徐々に難しくしていくというような、ゲーム作りには基本的なデザイン作業の事です。
それが、この迷路でも
- 最初は普通の道
- 敵
- ダメージの道
- HPの高い中ボス
- 即死の道
- 触れたらダメージの大ボス
というように、きちんと難易度がデザインされているのです。
これは、スゴいことではないだろうか、と。
(市販のゲームの中にも、稀にこのレベルデザインを失敗しているようなものもあるくらいなのに…)
そう考えると、この迷路を作った子の「才能」にあらためて目を見張らされます。
もしかして、この子、今ではゲームクリエイターになっていたりして…。
いや…考えてみれば、ここまで完成度は高くないにせよ、こんな感じのものを、当時、何人もの一年生が作っていたわけです。
もしかすると、子どもはみんな天才クリエイターなのじゃないか?
そんなことすら、思えてしまいました。
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今、この迷路に絡めて、Flashゲームを製作中。
さあ、どうなるかな…(思いつきではじめたことに苦労しているという事実…)。
(2010.11.26)
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