「いらっしゃいませ」の怪
お店に入ると、あたりまえのように
「いらっしゃいませ~」
というあいさつが聞こえてきます。
ふと、この「いらっしゃいませ」について、微妙な違和感を感じてきました。
まず、「いらっしゃいませ」の独特のトーン。
柳原可奈子さんのネタで、かなり誇張して表現されたりしますが、あそこまでではなくても、コンビニや居酒屋や家電量販店での「いらっしゃいませ」は、いわゆる日常会話でのトーンとは異質に思えます。
あいさつというよりは、むしろ「かけ声」です。
(シックな喫茶店や、高級なお店では違うと思いますけど。あまり知らないけど)
ふと思ったのは…
コンビニなどで発せられる「いらっしゃいませ~」は、普通の言語として意図されているものでは無く、むしろ、BGM(効果音)に近いものなのではないか…
あのかけ声、あの異質なトーンで言われるから良いのであって、
もし、普通の会話のトーンで語りかけられたら、かえって戸惑いそうな気がします。
コンビニに入るや否や、店員おもむろに近寄り(落ち着いた口調で)「どうも、いらっしゃいませ。」
…なんて言われたら、返事しなくちゃいけないような気がしてしまいます。
別に、近寄ってこなくても、入店すると同時に、複数店員に一斉に、落ち着いた会話トーンで「いらっしゃいませ。」と言われたら、ちょっと引きそう…。
あの独特のトーンで、誰に言うともなく発せられるから、特に意識せず(気持ちよく)店に入れるんじゃないか、と。
そういえば…「いらっしゃいませ」にはもう一つ、言外の用途がありました。
学生時代、ファストフードのバイトをやっていた時に、気付いたのですが…。
あれって、お客のためのBGMであると同時に、別の店員に「客が来たぞ」と知らせる「警報」の意味もあるんですよね。
で、それに合わせて「いらっしゃいませ」を復唱する店員は「俺も気づいたぞ」という「報告」をしている。
どちらにせよ「いらっしゃいませ」の本来の意味とは別モノです。
というか、もう一つの違和感は、この「いらっしゃいませ」という言葉の意味ですね。
なんとなく「ようこそー」みたいな意味に受け取ってますが、実際の言葉的には
「いらっしゃいませ = 来てくださいませ」
という意味ですよね。
だとすると、既に店に入っているお客に対して言ってもあまり意味がないのではないか…。
まあ、慣用的な言葉には、意味を追及しても仕方ないものもありますけど…。
例えば、「こんにちは」「さようなら」なども、これだけでは意味としてちょっとおかしいし。
ただ、「いらっしゃいませ」に関しては、場所によっては本来の意味でも使われているんですよね。
祭りの露店などでは、呼び込みで「いらっしゃいませー、いらっしゃいませー!」(ラッシャイ、ラッシャイ!)って、言ってます。
これは、道行く人への呼びかけなので、本来の意味「来てください」に合致してます。
海外では、このような「寄ってってー」「買ってってー」みたいな呼び込みは聞いたことありますが、入店時のかけ声みたいなのは無かったような気がします。(日系のスシ店とかは別で)
店員が一斉に「Welcome~!!」とかいうの、聞いたことが無い。
店で品物を見ていると、"May I help you?"とか聞いてくることはありますが、これは「いらっしゃいませー」とはちょっと違いますね。
「何かお探しですか?」みたいな、会話として意味のある問いかけです。
もしかしたら、入店者への「いらっしゃいませ」は、日本独特の文化なんですかね?
(近隣の中国や韓国ってどうだったっけな。よく覚えてないな…)
深く考えるとちょっと変にも思える「いらっしゃいませ」ですが、別に悪い習慣とは思いません。
そもそも、お客さんが気持ちよくお店に入れるための、演出なわけですしね。
その上、日本独特の個性も演出できるなら、なお良いんじゃないですかね。
海外からのお客さんも、最初はびっくりするかもしれませんが、慣れれば気持ち良い物なんじゃないかと思います。
これに慣れ過ぎちゃうと、逆にかけ声のない店が無愛想に思えたりして。
(写真と記事はあまり関係ないけど…。セントレア空港のキャラbyアランジアロンゾ)
(2010.11.9)
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