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軌道エレベータに出資する?

こんな記事を見ました。

1ドル(約80円)から出資に参加できる軌道エレベータを作るためのプロジェクト」(GIGAZINE 2012年9月9日)

LiftPort Groupという会社が、月面と地球を結ぶ「軌道エレベーター」への出資を募っている…という話。

日ごろ、宇宙関係のこういうのある話を、前向きに応援したいと思っている私としては、なんなら一口噛んでみちゃおうかな、というくらいの気持ちで記事を読み進んでみました。

…ん?

…なんか、おかしいぞ?

まず、記事では、「月面と地球を結ぶエレベータ」と書かれていますが、そんな軌道エレベータは不可能じゃないのか?
(地球側のエレベータと月側のエレベータの2つを作って、定期的に接触する方式なら、可能かもしれないが)

まあ、これは翻訳の間違いかもしれない。

で、記事の中のCGムービーを見てみると…月側のエレベータしか出てこない

いや、月ってもともと重力が小さいのだから、軌道エレベータの必要性は薄いのでは?
もしかして、地球に作るより楽だから、月で誤魔化そうってんじゃ…

しかも、さらに読み進んでいくと…

「今回の公募で集められた資金は上記のような遠大な計画を始めるための実験として2キロ上空に設置したテストプラットフォームまで登ることができるマシンを製作するために使用される予定です。」(引用)

結局、その要るかどうかわからない月のエレベータを作る前段階の、昇降マシンの実験機製作のための出資ってことのようだ…。

うわあ、なんと迂遠な…。

しかも、昇降マシンの実験って…。

たまに軌道エレベータの開発ニュースはありますが、決まって昇降マシンの実験だったり、コンテストだったりしますね。

いやいや、軌道エレベータ開発に必要なのって、まずはエレベータ本体(ケーブル)製造技術でしょう。
昇降機なんて、それが完成した後でないと、無意味なんじゃないか?

ケーブル素材の最有力候補は、カーボンナノチューブ(CNT)ですが…

そもそも、現状で最長のCNTって、どれくらいの長さになっているの?

カーボンナノチューブ」(Wikipedia)

直径については書かれているが、長さについてはイマイチよくわからない。

もう少し調べてみたところ…

いくつか見た確実性の高い(しかし断片的な)記事では、ミリ単位程度しか実現していないようです。

さらに、最近のこんな記事を発見。

長さ1メートルのCNT作れる
(SJN 2012年6月20日)

これは、「作った」という話ではなく、「作れそうだ」という話のようです。
つまり、まだ1mは実現していないと。

長さの問題もありますが、大量に生産する技術もまだまだのよう。

静止軌道までは3万km、カウンターウェイトにそれと同等な量、ケーブルの太さにテーパー…と考えると、物凄い量のCNTが必要になります。

だから、CNT開発への出資っていうのなら、まだ応援しようかなって気にもなるのですが…。

まあ、そもそも軌道エレベータには、この素材の件も含めて、色々なクリアしなければいけない問題があり、まだまだSFレベルの技術。
出資がどれだけ集まっても、50年以内に実現するとはとても思えません。

そう考えると、今回の記事って、限りなく山師的な話…って、言い過ぎでしょうか。

(まあ、全ての道は小さな一歩から、という考えもあるかもしれませんが…)

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ちなみに、軌道エレベータの本としては、これがためになりました。

自分が持っているのは、新書版ですが。

この本の頃には、まだカーボンナノチューブが無かったようで、素材はそれに近いホイスカーというのを想定しています。

(2012.9.12)

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