« スネークセンター | トップページ | 最近のアニメ とか »

虫好きの推理

人によっては、ちょっと不快かもしれない話題。ネタ自体もちょっと古い。(しかもまた長い)

しかし、ある意味「国際問題」にも関わる、重要な話題…かもしれない。

中国で販売されている人気チョコ「フェレロ ロシェ」から驚愕のブツが発見され衝撃を与える

(秒刊SUNDAY 2013年4月12日 infoseek経由)

「チョコレートに蠢いている白い不気味な生物、中国のサイトの情報によるとこれはなんと「ウジ虫」とのことだ。もちろんチョコレートになっている時点で生きてはいないと思うのかもしれないが、動画を見てみると元気にニュルニュルと動き回る様子が確認できる。」

ひぇー。

虫好きの私としても、これは鳥肌立つ話題だ。

しかし…

ここで、虫好きの血が、何か違和感を感じさせる。

「ウジ虫?」

検索をかけてみると、以前にも似たような話題があったらしい。

チョコレートからウジ虫?生産元は過去に同様の報道
(Record China 2013年1月7日)

「2013年1月7日、中国で流通するチョコレートに生きたウジ虫が混入していたことが問題視されている。」

やはり「ウジ虫」か。

ところで、私の感覚では「ウジ虫」というと、特定の種の幼虫を指す言葉です。

一般的にはどうだろうか。

手近なYahoo百科事典で調べてみました。

「【蛆】 昆虫綱双翅(そうし)目のおもにハエ類の幼虫の俗称」(引用)

ですよね。

普通はハエの幼虫。広く考えても、双翅目(ハエ、カ、アブなど)の幼虫のこと。

そのためか、この記事を取り上げたBlogなどの反応は、

「中国の工場やお店は不潔だ。日本では考えられない」

というようなものが多いように思いました。

確かに、ハエの幼虫が混入するというのは、不潔な環境に思えます。

しかし…ここです。
私の、「虫好きレーダー」が違和感を感じたのは。

ハエの幼虫が、チョコレートを好んで食べるだろうか。

少なくとも記事のひとつは、「生きていた」と書いています。

ということは、製造中の誤混入ではない。

製造後に侵入し、しばらくはそこで育っていたと考えるべきです。

この時点で、だいたい答は推測できていましたが…。

実際、混入していた虫というのは、どんなものだろうか?

おすすめはしませんが、興味があれば「チョコレート 虫 中国」で画像検索してみてください。
おそらく冒頭に、チョコと写っている虫の写真が出るかと。

なるほど。 推測は確信になりました。

これは、ハエの幼虫では無い。

以下が、解答と言って良いでしょう。

日本チョコレート協会」Q&Aのページ

「チョコレートにつく虫には、[ノシメマダラメイガ]・[スジマダラメイガ]や[コクヌストモドキ]などがあります。」(引用)

これも、おすすめはしませんが、興味のある方は、「メイガ」で検索してみてください。

これですね。

チョコの虫は、ハエ幼虫よりも、明らかにこちらに似ています。

(分かりにくいかもしれませんが…ハッキリした体節、頭部が顕著なことなどが、判断材料になります。虫好きの目には双翅目幼虫と鱗翅目幼虫では明らかに違うんです。)

また、別記事で「ハエが出てきた」というのもありましたが、写真を見ると、これまたハエではありませんでした。細長い不透明な羽を持つ昆虫。明らかに「メイガ」のフォルムです。

ということで、記事に書かれた「ウジ虫」というのは間違いであり、誹謗中傷だったのです!!

…え、「細かいことを言うな」? 「虫が混入していたのは事実だろう」?

うーん、ちょっとニュアンスが違いますね。

まず、「ウジ虫混入」と、単に「虫混入」では、皮膚観としても印象が違うでしょう?

明らかに前者の方が、不潔な環境を想起させます。

別のもので例えると…

「キャベツに青虫が混入していた!」
という記事があったとして、それを「不潔」だと捉える人は少ないでしょう。
(むしろ無農薬の証明で嬉しいという人もいるかも)

メイガはチョコ(または、それに含まれる穀類)を食料としているわけですから、この場合の青虫の例に近いです。

問題があるとすると、お菓子のパッケージングが甘かったことですね。

これは、製造元の問題か、販売側の問題かはわかりません。
もしかすると、最初の記事の場合、イタリアの時点での製造ミスかもしれません。

ともあれ、不潔かどうかとは関係ない。

この問題、「日本チョコレート協会」のFAQにあったくらいですから、実は日本でもしばしば起こっていることなのではないでしょうか。

メイガというのは、全然珍しい虫ではありません。

以下、自分のメイガ・エクスペリエンスをいくつか書いてみます。

・お菓子に

子供の頃、雑貨屋で「商品を買ったら、お菓子を(個包装をたった1個だけ)プレゼント」というキャンペーンをやってました。

で、持ち帰ってお菓子(小さなクリームサンドビスケットか何かだった)を見ると…、
透明個包装の中に、でっぷり太った幼虫が巣を作っていて苦笑…。

おぼろげな記憶ですが、これもメイガの仲間だったと思います(当時から虫には詳しかった)。
幼虫は小さな頃に侵入して、育ったのだと思います。

気付けよ、店員さん。
きっと賞味期限間近(切れ?)の物をプレゼントと称して配ったんですね。

これはもう何十年も前の、古き悪しき時代の話ですが。
日本にも、こんな時代があったんですよ…。

・鳥エサに

中学生の頃、屋外の鳥小屋で、鳥(セキセイインコ)を飼っていました。

その鳥エサに、しばしばこいつらが繁殖するんです。
(やつら、糸を吐いて、巣のようなものを作りやがります)

時々、それらを掃除がてら集め、巣の張った鳥エサと一緒に餌箱に入れ、ベランダに置いておきました。
スズメなど野鳥が喜んで食べてくれました。

・米に

学生時代、同じ研究室の友人が「米櫃にウジ虫が発生しちゃってさあ~」と言ったことがありました。

「いやいや、普通、コメにウジ虫は発生しないよ。それはメイガの幼虫だろう。」
と、これまでの経験を踏まえて教えてあげましたが…

ちなみにその後、自分も何度か同じ洗礼を受けましたね…。
(群馬のみならず、都会に住んでいたって、米袋の密閉が甘いとやつらは来ます)
まあ、もったいないので、虫を除いて、米は食べましたけどね。

(教育学部とはいえ)生物専攻の人間でも勘違いするくらいですから、一般的に、この虫を見て「ウジ虫」と思ってしまうのは仕方ないですが…。

ニュース記事を書く方はもう少し、世間に与える影響も考慮して、正確を期して欲しいものです。

元記事が中国語で、翻訳の過程で混乱した可能性もありますが……それでも翻訳者は注意すべき。

ちなみに、英語では「worm」でメイガの幼虫もハエの幼虫も言い表せますが…
(ハエ幼虫に限定する場合には「maggot」という独自表現もあります)

wormというとミミズやさらには「」のことまで含みますからね。
訳す時には、ちゃんと正体を確認するでしょう。

(チョコからイモムシが!/チョコからミミズが!/チョコから竜が! ではぜんぜん意味が違いますから)

たかが虫のことと、侮ってはいけません。
あらぬ誤解を生むことだってあるんですから。

…しかし、全体的に気分の悪い記事になってしまった…

(2013.4.29)

|

« スネークセンター | トップページ | 最近のアニメ とか »

動物」カテゴリの記事

日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/533792/57253665

この記事へのトラックバック一覧です: 虫好きの推理:

« スネークセンター | トップページ | 最近のアニメ とか »