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天下の義人茂左衛門

久々の上毛かるた。

(て) 天下の義人 茂左衛門

群馬で育った人間であれば誰でも、上毛カルタをお経のように憶えてます。これは本当。

しかし、実際お経のように憶えるので、その真の意味までは知らないことが多い。これも本当。(というか、自分がそう)

この茂左衛門という人のことも、「困窮した農民を救った人」くらいにしか知りませんでした。

で、なぜか今(もう群馬に住んで長いのに、今更ながら)、茂左衛門のことを知りたくなり、ゆかりの地へ行ってみようと思い立ちました。

茂左衛門についての知識が深まりましたよ。しかもちょっとした余禄も。

[ 茂左衛門地蔵尊 ]

群馬県利根郡みなかみ町月夜野。

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茂左衛門を奉るお寺です。上毛かるたの絵と同じアングル。

Mozaemon02

茂左衛門の碑。

本堂の隣には小さな資料館があり、茂左衛門について詳しく知ることができます。
(ボランティア?の方もいて、丁寧に説明もしてくれます)

そこで知った茂左衛門の逸話を、かいつまんで……。

時は江戸時代、初期。

杉木茂左衛門は、武士の子として生まれるも、三男だったため身分を捨て、新田開発の農民となりました。

当時この地域を支配していた沼田城主、伊賀守信直が、それはもうとんでもない、「三匹が斬る」の悪役も卒倒するほどの、悪殿様だったらしいです。

その悪行の数々は…

・元々三万石の領地だったところを、見栄のため無理やりな検地で十四万石に。
・年貢の取立てに水増しの枡を使う
・年貢を納められない農民を水牢に入れる
・禁猟の聖山で、犬の代わりに農民を狩り出し、猟をする
・参勤交代の列を横切った幼女を斬り殺す
・二年続きの冷害があったところに、江戸両国橋のための材木を請け負い、多くの農民を狩り出して二重苦に陥らせる

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左、水牢攻めにされる農民の図。右、逃げ出す農民。

このような圧政に、多くの農民が死に、また逃げ出したそうです。

もう我慢できない! 将軍に直訴するしかない!

そこで立ち上がったのが、茂左衛門だった!

実は、茂左衛門の前に、松井市兵衛という名主が直訴を試みていました。
しかし、結局念願かなわず、「越訴」の罪で斬首されてしまったのでした。

同じ轍を踏まないため、茂左衛門は奇策を弄したのだった。

金菊の紋章の付いた文箱を入手し、そこに直訴状を入れ茶屋にわざと置き忘れる!

紋章に驚いた茶屋の主人から、訴状は将軍家に届けられ、直訴は成功!

Mozaemon09

(訴状の写し)

その結果、伊賀守は改易、出羽国山形に流され、腹心の三人は切腹、領地は将軍家召し上げとなったのでした。インガオホー。

伊賀守の悪政は発覚し処罰されたものの、この時代、内容に関わらず直訴は罪なんですね…。

隠れ潜んでいた茂左衛門は、幕府の放った隠密により発見され…

結局、捕らえられ、ここ月夜野で磔刑に処せられてしまったのでした。

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左、磔刑に処せられる茂左衛門 。右、赦免の使者が走る! 
(しかし、この説明の絵が劇画タッチで異様に上手いのが、なんとも…)

実は処刑の直前、幕府から赦免の使いが向かっていたのですが、間に合わず。
使者は面目ないと切腹してしまいました。

また、訴状を清書した昌月法印という僧侶も、石子詰の極刑に処せられました…。

茂左衛門の死をいたんだ領民が刑場跡に建てた地蔵尊が、この場所の由来です。

月夜野にはそのほかに、茂左衛門の墓、首塚、昌月法印、切腹した使者それぞれの塚が残っています。

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茂左衛門奥之院本堂。茂左衛門が捕らえられた場所。

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茂左衛門の墓。地蔵尊の近くですが、ちょっと分かりにくい場所にありました。

この墓とは別に、さらし首になっていたのを哀れに思った領民が奪い、葬った首塚が山の中にあるとのことでしたが、この日はちょっと尋ねられませんでした。

上毛カルタの一枚の札に、これほど劇的な逸話が秘められていたとは、今更ながら驚きでした…。

そして、この逸話から、もうひとつの情報も引き出すことができます。

それは、私が常々知りたいと思っている、「江戸時代の農民の暮らし」の一例。

長くなったので、その考察はまた後ほど…。

(2014.5.8)

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(追記)
タイトルの誤字を修正しました…。
(2014.5.11)

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