レンガについて知っておきたいこと
Photoshaopのフィルターのテクスチャライザーで「レンガ」を実行すると、こんな絵が一発でできます。
Photoshopのフィルター、便利ですよね!
…だが、実際にはこんなレンガの積み方をした建物は存在しない!
(全く存在しないことはないが、ほとんど存在しない)
この積み方では薄い壁しか造れず、強度が弱くなるからです。
なので、リアルな設定のゲーム背景などに、安易にこのフィルターを使ってしまうと、恥ずかしいことになります。
最近自分も、手描きの絵を描くのが面倒になって、Photoshpのフィルターや、シェイプやエフェクトを多用してしまうんですが…こういうのに安易に頼りすぎると、ダメだということですね…。
(まあ、自作のFlashゲームには使ってますけどね…)
先日、深谷に行ってレンガ窯を見たこともあり、レンガについてちょっとまとめてみたくなりました。(以前にも、散発的に書いたことはありましたが)
レンガの積み方は、主に3種類あります。
[ フランス積み ]
レンガの長い面を「長手」、短い面を「小口」といいますが、これは
「長手・小口・長手・小口…」と積んでいく積み方です。
もっとも美しい積み方と言われているらしいです(高崎駅の新幹線待合の説明板より)。
群馬の富岡製糸場には、この積み方が多いです。
フランス人技師が関わっていたからか。
[ イギリス積み ]
「長手・長手…」と、「小口・小口…」を交互に積んでいく積み方です。
最も堅実で、合理的な積み方らしいです(同上高崎駅情報)。
碓氷峠の「めがね橋」は、この積み方です。
[ ドイツ積み ]
一見、「Photoshop積み」と同じにも見えますが、ちょっと違う。
「小口・小口・小口……」と積んでいく積み方です。(小口積みともいう)
(Photoshop積みは、「長手・長手…」)
深谷煉瓦はこの積み方。ドイツ人技術者が関わったからですね。
深谷駅や、東京駅の大部分は、この積み方です。
深谷駅駅舎。新しいものですが。
この他に、長手・長手…で数段積み、小口・小口…を1段挟む、「アメリカ積み」というのもあるようですが、見たことはありません。強度も弱いらしいです。
あと、街の建物で、時々Photoshop積み(長手積み)を見ることがありますが、たいてい装飾タイルで、本物のレンガではありません。
また、薄い壁で良ければ長手積みでも良いわけです。
花壇などには使われることもありますね。
↑これ、富岡製糸場の一部の建物の壁だが、長手積みです。
なぜこの積み方なのかは、不明。薄い壁なのかもしれない。
稀にはあるんですね。
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中世ファンタジーの世界観の建物を描くとき、ついレンガで描きたくなってしまいますが…
そもそも、ヨーロッパの建築物は、レンガでなく石造りが多いですよね。
フィレンツェの貴族の館。
遠目にはレンガにも見えますが、石材。
積み方も規則的ではなく不揃いです。
イギリス、ドーバー城。
細かい石が不規則に積まれています。
モン・サン・ミシェルの壁。(…だと思う)。
群馬、ロックハート城。
もともと、スコットランドのだった城らしい。
ノルウェー、アーケシュフース城。
イスタンブル、
イエディクレ要塞。
断面で、石の積み方がわかります。
最近、私自身は仕事で絵を描くことはほとんど無く、むしろデザイナーさんに依頼をする方が多いのですが…
指示をするときに、あんまり細かいことは言いたくないんですよね。
(細かく言うことでデザイナーさんのやる気を削ぎたくないので)
だから、デザイナーさんには、ぜひこういう知識をつけてもらって、「レンガ倉庫を描いてください」って頼んだ時には、逆に「イギリス積みッスか? フランス積みッスか?」って聞いてきて欲しいくらいです。
よろしくお願いします(ここで言うな)。
(2015.7.31)
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