引越しの時、蔵書の整理をしていたら、存在も忘れかけていた
「UFO解明マニュアル」(大槻義彦)(1992)
という本が出てきた。
(中古しかない? 絶版?)
今や懐疑論者の中でも、半ば嘲笑の対象となってしまっている大槻教授…。
若気の至りで買ってしまったんだっけな…なんて思い、捨てるかどうか判断するために一応読んでみたところ…(内容はすっかり忘れていた)
…あれ? 意外にちゃんとした本じゃね!?
まあ、確かに後半、話がいつものプラズマに寄ってはいますが…
全体の作りとして、決してトンデモとは言えない、割と誠実な本なのでした。
(竹内薫氏の「99・9%は仮説」なんかよりよっぽどマトモ…ってしつこいな私も)
多くの目撃体験を収集し、ケース別に正体を探っています。
目撃事件の新聞記事の転載、様々な調査資料の引用、虚像を生むカメラの構造など図版も多用した科学的解説もあって、(UFOマニアでない)一見さんにもわかりやすい。
一方、扱っている事件は結構マニアックです。主なところを列挙すると…
この2つは冒頭で扱われてるのですが、はっきり正体を断定していません。
「解明してないじゃん」とツッコミを入れたい人もいるかもですが、私的にはむしろ冷静に感じました。
「ヘスダーレン」は他でも正体を断定されていませんし(多分)、日航機事件は「UFO事件クロニクル」(ASIOS)等では、「機長が信用できないから」という切り捨てられ方をしてますが、個人的にはちょっと腑に落ちなかったので。
(ちょっとクレームつけたものの、基本的には良い本です。読むと癒されます)
大槻教授なのに、プラズマとは言ってません。「逆転層」と推理してます。
もっとも、逆転層ってUFO正体説でよく聞くけど、実証されたことはないんじゃないかな…。
前半はプラズマ説は言ってなくて、火球、ショートコーン、人工衛星、金星、気球、光の反射、トリック…など順当な原因をあげています。
海洋丸事件
この事件のこと、この本で読んだことすら忘れてたわ…。衝撃的事件なんですが。
いよいよ、ここで「プラズマ説」が出てきます。
ちなみに「UFO事件クロニクル」では、「米軍のレーダー撹乱説」をあげつつ、正体ははっきりわからないと書いています。
- キャッシュ・ランドラム事件
- 1988年オーストラリアの事件
(当時の記事 1988年読売新聞。スキャンが汚くてスイマセン)
これらも、「プラズマ説」。
前者は、「UFO事件クロニクル」でも扱ってますが、正体を断定できてません。
後者は「クロニクル」含め、真相解明した記事を見たことありません。
なので、プラズマ説も「推測のうちのひとつ」と、大目に見てもいいかなと。
これにプラズマ説を唱えてしまったのは、大槻教授の信用失墜の原因のひとつだと思ってますが…
この本が出版されたのは1992年。ダグ・バウワーとデイブ・チョーリーが告白したのは1991年で、おそらくこの本の執筆中。
本の中でも「二人の老人が(中略)名乗り出た」と触れているものの、当時の最新ニュースだった可能性が高いです。
「1992年の夏が楽しみである」(犯人が彼らなら、以降出現しないはずなので)と書いているくらいなので、この時点で「イタズラ説」と断定しなかったのは、むしろ慎重だったと言っていいんじゃないでしょうか。
・・・
なんども書きますが、この本の出版は1992年です。
「特命リサーチ200X」は1996年。
と学会の「トンデモ超常科学99の真相」は、1997年。
その後、ASIOSやNHK「超常ファイル」に繋がっていくわけですが…
日本での懐疑論、オカルトの真相を科学で究明しようとする活動としては、大槻教授は嚆矢と言っていいでしょう。
そもそも大槻教授は、UFOやその他オカルト批判以前には「人魂(火の玉)を科学で解明する」研究で有名になったんでしたね。
当時、「科学者が真面目にこんな研究やってる!」と驚きつつも嬉しかったものです。
大槻教授も、最初はオカルト全般じゃなかったんですけどねー。
でもおそらく、当時UFOプラズマ説が説得力あったのと、当時こういう人材が珍しかったことで、オカルト全般のご意見番として呼ばれるようになってしまったのだと思います。
呼ばれたからには、なんか言わないといけませんからね。で、門外漢のUMAや超能力などのことにもコメントするようになり、ねじれてしまったんじゃないかと。
最近では、オカルトとも関係ない「アポロ月着陸捏造説」を唱えるなど、ちょっといただけない言動も散見されるんですが…。
とはいえ、最近ではトンデモおじさん扱いされ過ぎている感もあり、かつての業績は讃えても良いだろうという気持ちからも、この本は捨てないで保存することにしました。
(いちいちこんな逡巡してたから、引越しの準備がなかなか進まなかったんだよな…)
・・・
この件で、芋づる式に思い出したんですが…
大槻教授以前に、人魂を科学で解明しようとした人がいたんですよね。
大昔、その実験をテレビで見た記憶があります。
当時は、「メタンガス説」が有力でした。
実験では、大仰な装置でメタンガスを吹き出し、そこに火をつけて浮かせるみたいなことをやってました。
それが、誰だったのか覚えてないんですが、ネットで調べてみた所、有力なのが2人。
ひとりは、明治大学教授、山名正夫氏。
学研「コロ助の科学質問箱」で人魂の解説をしていた先生のようです。
この方は、人魂製造機で実験を行ったことがあるそうです。
もうひとりは、ホンダの創業者、本田宗一郎氏(が率いるホンダ技研)。この方も人魂メタンガス説で研究してたらしいです。「ウルトラアイ」という番組で実験したらしいので、それを見たのかも。確かに、子供の頃「ウルトラアイ」は見てた記憶ありますし。
自分が見たのがどちらだったか、定かではないのですが、大槻教授以前にもこういう方々がいたんですよね。
(まあ、古くは井上円了とかもいますしね)
(2018.2.19)
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